規模の適切さ【経営のヒント 351】
今日は『マネジメント』<下巻><戦略と構造>のトップバッターは第53章「規模の適切さ」です。
まずは今日の一言から。
<ドラッカーの一言>
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規模の変化は量の変化ではなくなる。質の変化となる。
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『マネジメント<下>』p.52 1973年 ダイヤモンド社
この章は印象的な記述から始まります。
「物体の表面積は直径の二乗、体積は三乗で増加する。
直径が二、三、四と増大すれば表面積は四、九、一六と増大し、
体積は八、二七、六四と増大する。
この幾何学上の初歩の公理がマネジメントにおいて重要な意味をもつ」。
組織の規模を何で測るかは難しいところではありますが、
組織や部門に所属する人数が10人から100人に増えると
複雑な要因が加速度的に増えることは容易に理解できるのではないでしょうか。
たとえば必要なコミュニケーション量は、人数が10倍になった以上に必要になるのではないでしょうか。
しかも規模の変化は、非連続的に変化します。
ある一定点で質的な変化をもたらすということです。
ドラッカー教授は、生物学者のダーシー・トンプソンの「ある規模を超えると、昆虫も硬化した皮膚で体を支えることはできなくなる」との言明を紹介しました。
「それより先は、骨格を必要とする」としました。
組織の規模の違いが、構造や戦略に違いをもたらします。
つまり意思決定と行動も異なります。
何人以上の組織とか年商何億円以上の企業とか、規模を適切に表す基準はありません。
しかし質が変わる一定点を感知しなければなりません。
なぜなら意思決定と行動の質を変えなければならないからです。
さもなければ複雑性の餌食になります。
今日の一言は、まずは組織の規模を意識することからスタートせよとの教えです。
佐藤 等