目的とミッション【経営のヒント 247】
『マネジメント』第7章は、「目的とミッション」をテーマにしています。
この章も重要な章の一つです。今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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明確でシンプルな事業の定義をもつことは、
自らが財をなすだけでなく、自らの亡きあとも
成長を続ける組織を築きあげるという
真の企業家の特徴である。
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『マネジメント』p.91 1973年 ダイヤモンド社より
事業を定義することは、事業の目的やミッションを明らかにすることと同じ意味です。他にも組織の存在意義、組織の社会的役割などという言葉も当てはまります。「自らが財をなす」には欠かせない条件だというのですから見逃す手はありません。そればかりか経営トップが替わってもなお成長を続けるための条件でもあるというのです。
私たちの身近にも「われわれの存在意義は何か」を問い、立ち直った組織があります。皆さんご存知の旭山動物園です。
1992年に、この問いを自ら発しました。そのとき開園から25年の年月が経っていました。当時の入場者数は30万人そこそこ。彼らが得た答えは「野生の動物の凄さを見せることができるのは動物園だけなんだ」という使命感でした。そのためにイキイキと動物が喜ぶ夢の施設を描きました。
「14枚のスケッチ」がそれです。
その間、野生動物の凄さを伝えるため、ワンポイントアドバイス、食事の様子を見せるもぐもぐタイムなど来る日も来る日も続けました。チャンスは5年後にやってきました。開園30周年の年に久しぶりの大型予算がつきました。
夢の施設を実現するときが来たのです。売上は最低の26万人から上昇に転じました。夢の施設は今も作り続けられています。
10年が経ち、入場者数は300万人を超えました。
事業の定義「野生の動物の凄さを見せること」を最も実感することが出来る施設が「ホッキョクグマ館」です。ウォーという人間の唸り声が館内に響き渡ります。凄いという声もあちこちから聞こえます。その感動は、顧客から顧客に伝えられ、いまや海外からも顧客が訪れる世界に誇れる動物園に発展しました。この「旭山物語」は、たった一つの問い「われわれの存在意義は何か」から始まりました。その問いこそが瀕死の動物園を救ったのです。
事業の定義の大切さを実感させられる物語です。
佐藤 等