人生を変えた七つの経験【経営のヒント 204】
今日は、ドラッカー博士の「人生を変えた七つの経験」、五つ目をお伝えします。
今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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新しい任務で成功するうえで必要なことは、
新しい任務が要求するもの、新しい挑戦、仕事、
課題において重要なことに集中することである。
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『プロフェッショナルの条件』2000年 ダイヤモンド社より
この経験は、青年ドラッカーの失敗に端を発しています。
24歳頃、ロンドンに渡ったドラッカー青年は、大手の保険会社の証券アナリストを経て、投資銀行に転職しました。エコノミストとシニアパートナー3人の補佐役が任務でした。
3ヶ月が過ぎたある日、最年長の創業者のシニアパートナーの部屋にドラッカー青年は呼びつけられます。そこで言われた言葉は、本人があっけにとられるものでした。
「君が入社したときはあまり評価していなかったし、今もそれは変わらない。
しかし君は、思っていたよりも、はるかに駄目だ。あきれるほどだ」と言われたといいます。
その人の真意は何だったのでしょうか。
続けてその理由を言われました。
「今君は、補佐役だ。ところが相も変わらずやっているのは証券アナリストの仕事だ。
今の仕事で成果をあげるには、いったい何をしなければならないと思っているのか」と。
相当頭に血が上ったと回想しています。
しかし、直ぐにその指摘は正鵠を射たものだったと得心します。
その後、仕事の内容も、仕事の仕方も、すっかり変えたといいます。
ドラッカー青年が失敗から得た貴重な教訓が今日の一言なのです。
職場が変わる、役職が変わる、仕事が変わる。
そんな時、必ず自問しなければならないのは「新しい仕事で成果をあげるには何をしなければならないのか」です。
優秀な営業マンが管理職になって期待を大きく裏切る成果しか出せない、NO2を社長にした途端に会社の業績がガタガタになったなどという話を良く聞きます。
これらの失敗の大きな原因の一つは、新しい任務についても、前の任務の成功パターンを続けることです。
ドラッカー博士は、こう指摘します。
「正確には、彼らが無能になったからではなく、間違った仕事の仕方をしているために、そうなっている」と。
任務が変わったときには痛い失敗をしないためにも、よくよく心して取り掛かかりたいものです。
佐藤 等