多元社会の理論【経営のヒント 190】
『断絶の時代』第9章「多元社会の理論」、そろそろ終わりかと思いきや・・・
なかなか終えられません。
素晴らしい章だと心から思います。
さて、今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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社会的なニーズを把握し事業機会へ転化する
という責任は、今日の断絶の時代において、
特に大きな意味をもつ。
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エターナル版『断絶の時代』1969年 ダイヤモンド社より
まずは前段の「社会的なニーズを把握し事業機会へ転化するという責任」についてです。
ここで私たちは、社会に存在しているニーズを解決することが組織に強く求められていることを再確認する必要があります。
そのためには、何よりも社会に存在する問題に真剣に取り組む姿勢が大切です。誰かがやってくれることを期待するのではなく、自分たちにできないかと問うことが求められます。
これらの問題やニーズに応えることが組織の社会的責任の本来の意味であると言っても言い過ぎではありません。
次に「今日の断絶の時代において、特に大きな意味をもつ」という後段についてです。
ちなみに「断絶の時代」は、2020年~2030年頃まで続くといわれていますので、今私たちが直面している時代そのものです。
ドラッカー博士は、今日の一言に続けて
「これまでの半世紀、そのような機会はあまりなかった。あらゆる組織にとって重要なことは、すでに行っていることをさらによく行うことだった」と述べています。
つまり「連続の時代」があり、その時代には、いかに速く行うか、いかに品質を高めるかというようなことを考える日々を送っていればよかったことを表しています。
これに対して断絶の時代には、あちらこちらで変化が起こり、新たなニーズが生まれてきます。
これらのニーズを機会に転化するのが企業家です。
企業家とは、ニーズを機会に変え、イノベーションを起こす人のことをいいます。
経営者であっても企業家精神に乏しい人は、多数います。
断絶の時代こそ、企業家の時代です。
世の中のニーズを拾い、実現する責任を負っているのが企業家なのです。
ドラッカー博士は、「社会のニーズを放置しておくならば社会の病になる」とまで言います。
ニーズを自らの事業に転化することは企業家に課された大いなる使命感溢れる社会的責任なのです。
佐藤 等