自己開発【経営のヒント 144】
あけましておめでとうございます。
このメール便【経営のヒント】も5年目に入りました。これも読者の皆様あってのこと、 この場を借りてあらためて深く感謝申し上げます。
皆様の2007年が輝かしい年になりますことをご祈念申し上げます。
『非営利組織の経営』最終章は、この第5部のテーマである「自己開発」のまとめの章です。まずは今日の一言からです。
<ドラッカーの一言>
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自己開発は、奉仕することによって、また、自分の外の
存在としての理念に向けて努力することによって始まる。
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『非営利組織の経営』 1990年 ダイヤモンド社
自己開発、self-developmentという言葉の訳語。故あって年末に、この言葉に関して調べてみました。そもそも辞書の類には一切登場しない言葉です。自己啓発とどう違うのだろうか?おかげで「啓発」は「論語」に由来していること。最新の人材開発(Human Resources Development)やキャリア開発(Career Development)についてずいぶんと学ぶことができました。結論は、「自己啓発」と「自己開発」は似て非なるもの。ドラッカー博士も著書でおっしゃるとおり「自己開発」をなすには焦点を必要とすること。今日の一言にもありますが、その焦点は組織の「理念」、そしてそのことは外なる世界に奉仕することとイコール。「自己開発」というと深く内部に向けて自分を掘り下げていくイメージがありますが、一方で外とつながってはじめて意味のある「自己開発」だといえます。第141号でも触れた「何をもって憶えられたいか」の「何を」をはっきりさせることが焦点を合わせることそのものになります。
現代は組織社会です。そこでは、多くの人が組織の中で自己実現を図ろうとします。
その場合の「焦点」になるもの、それが理念です。「理念」は過去と現在、現在と未来という時間軸を貫き、大切なものを明日に伝える役割をもつと同時に、組織に参加する各チームの構成員と組織そのものを結ぶ絆の役割を果たしています。「理念」から貢献の形がわかり、その貢献を果たすことで外の世界にある成果を手にすることができます。
私たちが扱う製品やサービスは、この「理念」の仲介物にすぎません。「理念」に示された大切なものが自己開発を通して「人」をつくり、奉仕の対象として「顧客」をつくります。
「理念」の大切さは、何度繰り返しても十分ということはありません。組織の真の「理念」、役割、使命、ミッション、存在意義、目的・・どれも同じ意味です。要は一人ひとりのレベルアップなしには組織力向上は望むことはできず、そのためにはチャンとした「理念」が必要だということなのです。今年一年の飛躍に真の「理念」をどうかご活用下さい。
佐藤 等