非営利組織の経営【経営のヒント 119】
今回から『非営利組織の経営』を題材に経営のヒントをお伝えします。
この著書は1990年のものです。非営利組織・・と聞いて少し奇異な感じを受けたのではないでしょうか?
非営利組織の社会的ポジションは、アメリカにおいては特殊なものです。
多くの人が本業を持ちながら週何時間もボランティアに費やす。
理由は、金銭的な報酬では得られない自己実現の場ととらえているからです。
この点、企業、政府機関など職場を自己実現の場と考える日本とは異質です。
そのような基本的な違いはありますが、現代社会における組織という点では運営の原理と方法は異なるところがなく、むしろ問題が先鋭化して表れる印象があります。それゆえ営利企業の運営において参考になる点が大いにあります。
それでは今日の一言は、
第1部「使命が第一~リーダーの役割」第1章「使命とは何か」からです。
<ドラッカーの一言>
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リーダーとして真先になすべきは、よくよく考え抜いて、
自らのあずかる機関が果たすべき使命を定めることである。
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『非営利組織の経営』(ダイヤモンド社)より
「使命」を定めることがリーダーのなすべき第一責務とドラッカー教授は、明言しています。非営利、営利を問わず組織に目的がある以上、使命(理念、役割、ミッション)を定めることは当然のことです。
学校や病院、教会の使命・・。当たり前すぎて確認していない・・ということが世の中多いのではないでしょうか?
病院の使命は何でしょうか。一見「健康を守ること」で正解のようですが、これは間違いです。「疾病を治すこと」が正しい使命です。
ドラッカー教授は、
「使命の表現は、それに基づいて現実に動けるものでなければならない」
といいます。
「健康を守ること」といった瞬間、実は病院は現実に動きがとれない組織体になっています。
現実の営利企業でも間違った使命を掲げている組織は、多々ありそうです。
是非皆さんも、今日からの行動に結びつく使命・理念になっているか確認をお願いします。
最後に使命の表現に盛り込むべき3つの要点を述べておきます。
(1)機会やニーズに自らが適合しているか
(2)しかるべき成果をあげる能力を有しているか
(3)本当に信念をもってやれるか
佐藤 等