意思決定【経営のヒント 300】
GWはいかが過ごされましたか。
私はドラッカー学会の論文ネタの収集に明け暮れていました。
さて今日も『マネジメント』<中巻>第37章「意思決定」からです。
<ドラッカーの一言>
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選択肢すべてについて検討を加えなければ、
視野は閉ざされたままである。
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『マネジメント<中>』p.124 1973年 ダイヤモンド社
現在取り組んでいる論文は、ドラッカーの「知覚」に関するものです。
とても深く、広大なテーマであることに氣づき、持て余し気味です。
その学びから一つ。「知覚は外部にある環境情報により引き起こされる」という知見です。当たり前・・・?しかしそれまでに心理学で語られていた「知覚」は、<刺激→反応>としての受身的「知覚」だけでした。
不思議ですね。ドラッカー教授の「知覚せよ」とのメッセージは、外部情報を探索する際に用いる能動的なものです。従来の心理学では太刀打ちできない領域でした。
「能動的知覚に必要なものは何か」。それが今回の論文のテーマです。
今日の言葉は、意思決定に際して選択肢が不可欠であることを述べていますが、そのための方法が「意見の不一致を作り出すこと」です。
外部にある情報を多数の者がそれぞれの受け取り力で受容すると全員の意見が一致することはほとんどないと思います。
それはそれぞれが違う現実を見ているからです。また同じ現実を見ていたとして受け取り力が異なれば意見は異なります。さらに価値観も違います。
選択肢を整えることは意思決定に際し、不可欠です。
ドラッカー教授は、そのメリットを3つあげました。
(1)組織の囚人(自分の組織上のメリットを考えてしまう)になることを防ぐことができる。
(2)代替案を得ることができる。
(3)想像力を刺激することができる。
何を知覚しているかは、人それぞれです。意見は仮説であるとの前提がドラッカー教授にはあります。多様な意見が存在することが素晴らしい組織の条件の一つです。そのためには反対意見を歓迎する土壌作りから行わなければなりません。
さて2003年1月から続いている「経営のヒント」も本号で300号を迎えました。
読者の皆様あってのメルマガです。この場を借りて感謝申し上げます。
熱心な読者の方も増えつつあります。これからもドラッカー教授の言葉をヒントに多くの方が善き経営と善き人生を手にすることができましたら望外の幸せです。
ご愛読よろしくお願い申し上げます。
佐藤 等