教育の経済学【経営のヒント 225】
今日も『ポスト資本主義社会』、第11章「教育の経済学」からお伝えします。
ナレッジプラザでは一昨年「学びランド北海道」宣言をさせていただきました。
これまでの様々な活動を一つのメッセージに込め、「学びで地域を変えよう」を合言葉に皆さんと成果のある学びの時間を共有させていただいております。
今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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ポスト資本主義社会では、継続学習が欠かせない。
学習の習慣が不可欠である。
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『ポスト資本主義社会』 1993年 ダイヤモンド社より
我が物顔で世界を蹂躙した金融資本主義が風前の灯です。
地表を覆っていた不純物が取り除かれると、いよいよドラッカー博士が「ポスト資本主義社会」と呼び、その本質を「知識社会」とした時代が本格的に到来します。お金が価値を生むという意味の金融資本主義ではなく、知識が価値を生むという意味の知識資本主義あるいはその所有者である人間に焦点をあわせた人本資本主義の時代の到来です。
そんな時代の究極の資源は、一人ひとりがもっている「知識」です。
知識にとって量も質も重要な要素です。
そして知識は、一人ひとりのスーパーコンピュータ、脳に格納されています。
ありがたいことに、どんなに知識が増えても倉庫代はかかりません。
しかし、この格納庫は鮮度管理は不得意です。
いつのまにか期限切れになっている知識を大切に保管しているという性質があります。
ドラッカー博士は、20歳で習得した知識は10年もすれば古くなると明言しました。
しかしこの言葉は、1993年のもの。インターネット普及前の話です。
いまやITの世界ではドックイヤーといわれ、7倍速の時代です。
今回の世界同時不況の進展スピードは1929年の世界恐慌のときの5倍以上といわれています。そんな時代では、すぐに情報や知識が古くなります。
ここで私たちが身につけておかなければならないことは、多くの知識をいかに速く身につけるかではないということです。
第一に必要な知識を見分けることです。
知識の陳腐化スピードも速い知識社会ではこのことは重要です。
さらに大事なことは、時代とともに陳腐化しない知識を修得することです。
スピードが速くなった分、偽者の知識の化けの皮がはがれることを目の前で見ることも頻繁です。
だんだんと私たちの眼も肥えてきます。
つまり何を学べばいいのかが判り易い時代でもあるのです。
「必要な知識は何か」、「本物の知識は何か」を鮮明にして、継続学習することが生き残る必須条件です。
ここで思い起こしてほしい言葉があります。
「知識は本の中にはない。本の中にあるものは情報である。
知識とはそれらの情報を仕事や成果に結びつける能力である」というドラッカー博士の至言です。
継続学習とは、行動を含むものだということです。何を学び、何を身につけるか。
このシンプルな思考がこれからの成果の大きさを決定づけます。
その際の最重要ポイントを一つだけあげるとすればドラッカー博士の次の言葉に隠されています。
「外科医が何ヶ月も飽くことなく傷口を縫い合わせる練習をする。
指の技能はごくわずか向上するだけである。だがそのわずかな向上が手術のスピードを上げ、患者の命を救う。成果をあげる能力とは、積み重ねによるものである」。
「ごくわずかな向上」のため日々やっていることは何か。
大きな飛躍は微差の積み上げの結果です。
習慣が不可欠であるという理由がここにあります。
佐藤 等