多元社会の理論【経営のヒント 186】
『断絶の時代』第9章は、「多元化した社会」(8章)の後続として「多元社会の理論」をテーマとしています。
今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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組織はそれ自身のために存在するのではない。
それは手段である。それぞれが社会的な課題を担う、
社会のための機関である。
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エターナル版『断絶の時代』1969年 ダイヤモンド社より
この章でドラッカー博士は、企業以外の多元化した組織の一般論を明らかにしています。機能、責任、正統性の三つの観点から示しています。
政治論から執筆活動をスタートした氏の面目躍如の章です。
少し抽象的で固めの内容になりますがお付き合い下さい。
組織の機能の三つの側面は、
(1)それぞれの組織の目的を明らかにし、
(2)その目的を果たすためにマネジメントし、
(3)そこに働く人たちを生かすことであるといいます。
<今日の一言>は、(1)組織の目的についてのものです。
ドラッカー博士は、組織は「生き物のように、自らの生存そのものを至上の目的とすることはできない」といいます。
組織は、社会に役割を与えられて生存できるものです。
社会の公器といわれている所以です。
組織の目的については、このメルマガでも繰り返してきたテーマですが、とても重要ですから何度でも取り上げます。
組織の目的は、組織の役割・使命・存在意義・ミッションなどと呼ばれることもあります。組織は、目的を決めなければ成果をあげることが出来ません。そもそも何が成果かを明らかに出来ません。成果がない組織は、存続することが難しいのは当然です。
しかし一方で目的について決定的な答えはないとドラッカー博士は言います。
いかなる答えも陳腐化します。ということは、「われわれの事業の目的は何か」は繰り返し問い続けていかなければならないということでもあります。
目的が陳腐化しているのに氣づかないでいると・・・存続できないという現実に直面します。とても恐ろしいことです。世の中に目を向けると、必死に目的を見つけ、それに向けて活動している企業だけが10年、20年と存続しているのだと極論することが出来ます。最も大切な問いから逃げずに挑戦を続けることが組織存続の最大のポイントなのです。
佐藤 等