情報が仕事を変える【経営のヒント 166】
『明日を支配するもの』の第4章は「情報が仕事を変える」です。
さすがにITという言葉も聴きなれた感がありますが、10年前くらい前だと一般的ではなかったはずです。ドラッカー博士は言います。これまではITのTの時代、これからはITのIの時代だと。つまりは技術から情報へ価値の移動が進むという意味です。世の中にテレビが出現したとき、私たちの先達は、ブラウン管に映し出される映像を見て、おそらく息を呑んだことでしょう。技術に驚嘆したのです。ところが今は、あの番組は面白い、面白くないと地デジ(地上デジタル情報)という技術革新を前にしてもなお、情報そのもの、今的に言えばコンテンツに興味の焦点が当たっています。ITにも同じことが起ころうとしています。ITの歴史の波は3つ目を迎えています。第一はシステムの波。第二はパーソナルコンピュータの波。第三はネットワークの波。それぞれの波は、およそ20年から30年の波として現れ消えています。そして第四の波がコンテンツの波です。
この波は2005年から始まったと言われています。情報-コンテンツが大切になる時代、それが現代なのです。
今日の一言は、そんな時代の中で経営をする私たちに、真に必要な情報とは何かを示してくれます。
<ドラッカーの一言>
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長期的には、仕事をするうえで最も重要な情報は、
外の世界についてのものである。
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『明日を支配するもの』1999年
これまで私たち経営者が扱ってきた情報は、会計情報が中心です。現在の会計情報は、コスト情報の塊といっても過言ではありません。資産も投入を待っている未来のコストの塊に過ぎません。企業は、富の創造機関です。コスト管理機関ではありません。ドラッカー博士は、富の創造機関として企業が備えるべき情報を四つあげています。(1)基礎情報、(2)生産性情報、(3)強み情報、(4)資金情報と人材情報の四つです。すべての企業がこれらを手にしているわけではありません。例えば、(3)強み情報を報告、蓄積、活用している企業は稀です。これらの指標を少しずつ導入しなければなりません。
ところがここに限界があります。これらの情報はいずれも内部情報であるということです。今日の一言が示すように最も重要な情報は外部情報だということです。成果を生む情報は、外部にあるということです。具体的には、市場、顧客、非顧客、技術、国際経済・金融などの情報です。
変化は、常に組織の外からやってきます。これらの情報なしには、組織は継続していくことができません。意識して情報を入手する姿勢が大切です。
佐藤 等